ダイレクト・コミュニケーション

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日本では「ダイレクト・コミュニケーション」が主にマーケティング用語として使われているようだけれど、今回は、「意思伝達が直球であるか、そうでないか」の方について書いてみようと思う。

よく、欧米人は言い回しが直接的で、日本人は遠回しだと言われる。例えば、商談の場で欧米圏はお金の話をわりとスパッと切り出したり、興味の無いことにはNOというのに対して、日本の企業は最後の最後までお金の話が曖昧なまま(あるいは遠回しな表現を使って)進められたり、「検討します」という建前的な返事で会議を終える傾向がある。

(実際に、このギャップがもとでこんなこともあった)

さて、インドはどうか。
結論から言うと、今でもよくわからない。

悪い癖とでも言おうか、若い頃の自分は「日本人VS外国人」で考えてしまうことが多く、インドはダイレクト・コミュニケーションの方だと思っていた。インドで生活していた時も、とにかくして欲しいこと、して欲しくないことは普段の10倍くらいハッキリ言う習慣があったと思う。

お店とか、リキシャとか、銀行での手続きとか、こういう日常生活で自分の望みを伝えるときにはこの方法は正しかった。しかし、同僚のインド人たちには、これがうまく作用する場合と、そうじゃない場合がある。うまく作用しない場合は、攻撃的だと取られたり、いじけられてしまうことがある。

先日、社内のトレーニングの一環で「インド人はダイレクト・コミュニケーションか、インダイレクト・コミュニケーションか」という問いが投げかけられた。インド人たちからの回答はおおよそ半分ずつに分かれ、インドにいればよく聞く、「インドは広い国だから、一概にインド人はこうってまとめられたものではない」というコメントもあがった。その中で、参加していた同僚の一人、仕事上、社内で私を含めアグレッシブな日本人を相手にするインド人からは、「インド人はインダイレクト。日本人はダイレクト(断言)」という発言があがった。

これを聞いた私は、人種への印象というのは、あくまでも自分が実際に接している人間を軸にして、その人の中にできあがっていくものなんだな、と心の中で苦笑いした。

彼は、大学を出て英語もペラペラ、社内のイベントでMCをやって笑いをとるようなセンスのある、いわゆるインド中流層の青年だ。メールでは、ちょっと難しい言い回しや単語を使っていて、文章だけ見るとなんとなく「インテリ」感を醸し出している。私たち日本人が何かに反対するときは、かなり直接的な数行のメールを書くのに対して、彼はながーい返事を書いて来るタイプだ。

言い訳をすると、我々日本人がダイレクトになってしまうのにはそれなりの理由があると思っていて、ひとつに、遠回しな表現をできるほどの英語力が無いこと、もうひとつの理由として、「日本人の客相手にそんなことできぬ!」と思うような提案をインド人達がしてくることがしばしばあるからだ。それでちょっと感情的になって「NOだろ、NO、ダメ」的なトーンの返事をすると、彼らはしょぼくれてしまう。実際、まだチームが編成されて間もない頃は、お互いのことを良く知らなかったということもあって、「君たち(日本人)は俺たちを信用していないんだ!」と言われる事態にまでなってしまった。日印戦争勃発の原因となるメールを書いた日本人は誰かと喧嘩をするような性格の人ではないし、そんな意図もなかったのにも関わらず、だ。

つまり、インドの日常生活のトーンのままで、企業で働いているような中流層以上のインド人を相手にそれをやってしまうと大いに失敗する可能性がある。

とはいえ、丁寧に「できればでいいんだけどやってくれない?」的なトーンでコミュニケーションをとると、「できなかったわ。だってできればで良いって言ってたでしょ、あなた」という流れになってしまうことも少なからずあり、本当に読めない。難しい。

そんなわけで、私の中でインド人はダイレクトかインダイレクトかの答えは出せず、ここでも「インドは大きい国だから何でもありえる」という使い古された言葉で締めくくるしかない。

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