How’s your life?

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日本で生活していた時には聞かれる事のなかった質問がある。「How’s your life in Mumbai?」という質問だ。別にムンバイじゃなくてもいいのだが、つまりは外国人として外国に存在しているからこその質問である。新しい人に会うたびに問われ、そして自分に問う。自分はここにいて、幸せかどうか。

先日、台湾からムンバイにやってきて、しばらくここで暮らしていた女の子と、雨でぐちゃぐちゃになった道路を、水たまりに足を突っ込まないように気をつけながら歩いていた時に、「なぜここにいるんだろうって思う事はない?」と訊かれた。足下に注意を払うことに100パーセント使っていた脳みその半分をその質問の答えを出すために働かせた。「日本に居たときの方がそう思う事が多かったよ」と、私は答えた。何かが噛み合ないと感じて、「なんで日本にいるんだろう」と思う事があった。今、ムンバイにいる時よりずっと多く。

今のところ、「ムンバイでの暮らしはどう?」と訊かれて、ネガティブな返事をしたことはない。まあ、気に入っている。世界で一番汚い街だし、娯楽は少ないし、1日12時間働くし、心底信用のできる友達を作るのは簡単じゃないけれど。何が良いって、こんなふうに、いろんなバックグラウンドをもった人々に縁あって出会って、時々、はっと気づかされる事があったり、決して安定的な道を歩んでいるわけではないから、常に未来を意識している必要がある。人生を考える、という重々しい言葉は使いたくないが、自分の生きたい道をクリアに保てるという点で、この街は私にフィットしていると思うのだ。少なくとも、東京で暮らしていたときのように、噛み合ない何かを我慢しながら生きている必要がない。自分に嘘をつく必要がない。こんな考え方は、消極的だろうか。

いつだったか日本人の友達に、「自分とは違うバックグラウンドをもっている人が暮らしている外国にいるからこそ、彼らの常識に惑わせられないように自分の意志をクリアにしておけ」というようなアドバイスを受けた事がある。とても的確なアドバイスで、私に必要なことだった。インド人はわたしのことを、「シンプル」だとか「正直」という言葉で形容する。ただでさえごちゃごちゃの国に居るからこそ、自分の意思をしっかり持つために、どんどん不必要な皮が剥がれていっているような気がする。どうしたものかとウロウロしていると、何も進まないし、あれよあれよと言う間に、飲み込まれてしまう。

インドはでかい。
ごまかしはきかない。
ムンバイポリスにホラは効く。

ともかく、今のところ、「How’s your life in Mumbai?」と気かれて、「I’m happy to be here.」と答えているわけだから、幸せである。毎日毎日、「わたしって幸せ!」なんて噛み締めて生活しているわけじゃないが(そんな人間はいないだろうが)、オーバーオールではそう言える。そう言えなくなったら、また次の手を考えるまでだ。

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