
7月末でムンバイの現地法人での仕事を退職し、8月から日本へ戻って来てインド企業へのコンサルをしている。具体的にはムンバイから日本でのマーケット開拓をしにやってきたインド人社員と、日本にあるIT企業を訪問する活動をしている。
ITにおける知識は双方十分にあるし、テクノロジーに関する知識の点で問題になることは無いが、とにもかくにもビジネスに対する、日本企業とインド企業の姿勢の違いが目立つ。「Opportunityがあればとりあえずやってみよう!」というのがインド側で、「綿密に決めるべきところまで決めてからスタートする」のが日本。ガツガツ押して来るインド側に対して日本側のお客さんはバッサリと言った。「インドと日本のやり方は違うんですよ」と。
その他、いろいろな点で日本人社員との会話にインド側は混乱している。例えば、「なぜ役職があんなに細かく分かれているのか。誰が何を決めるためのキーパーソンなのかわからない」という点。
これについては数年前「何かあったときの責任を分散するために役職や役割を細かく分けている」と、聞いた事がある。昔、外資系IT企業に勤めていた時、新卒の営業である私がひとりで訪問した先の某日系大手企業から、8人の担当者がミーティングに参加した衝撃は今でも忘れない。
「あんなにたくさん人が出て来ても、最初から最後までしゃべらない人もいる。いったい誰に何を話したらいいのかわからないよ」と、インド人の社員は言っていた。名刺に書いてある部署名を見ても、具体的に何をしているのかわからない名前がついていることも日本では稀ではない。インドでは担当者はもっとクリアに決まっているらしい。
彼を日本へ派遣したムンバイにいるインド人社長は「はやく成果を出せ!」と言う。しかし、開拓を始めてまだ3ヶ月あまり。全くコネのない日本の企業を相手にたった3ヶ月で契約を取って来るなんてむちゃな話だ。実際、初めて訪問に同行したとき、彼は「今日はぜったいに契約書を結べる!」と意気込んでいたのだが、実際にミーティングに参加してみたら全くそんなフェーズではなく、むしろ「なんでウチの企業に来たの?」という点にさえも、まだ疑問を持たれている状況だった。それくらい、お互いの温度差があって、インド側は日本側の温度を読めない。「特にうちのボスはインド人経営者の中でもせっかちな方だから、この状況を理解してもらうのが大変だよ。成果をはやくだせの一点張りだから」とのこと。
何度も訪問を繰り返して行く中で、彼自身は「日本は生活するのにはとても便利で生きやすい国だけど、ビジネスをするのはインド人にとって、とても難しい国だ」という結論に至ったようだ。では逆に、日本人だったら「インドは生活するのにはとてもタフな国だけれど、ビジネスはやりやすい国だ」と言えるだろうか。
インドは生活もビジネスも大変ですよね。インド式ビジネスを考慮する苦労をしている日本人の気持ちが日本人に伝わったかな笑
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本当にすごい勉強になりました。日本にいるとなおさら違いがハッキリするというか。。。インドと仕事するのって大変だけど飽きないですよね。
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ご著者の方
貴重なご記事に感謝申し上げます。
急かす気持ちは現地では、当たり前のようですね。
それは、目の前の目標地点ばかりが先にくるまたは、
それに対しては、異常な勢いを見せるという状態である、
とも言い換えられないでしょうか。
考えさせられます。
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コメントありがとございました。インドは何かと短期的視点で考える習慣が強く、長期視点を重視する日本人には理解し難い部分もありますが、逆に日本人が苦手とする想定外の事態に強いという点はインドの強みかとも思っています。
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なるほど、そのように強みを考えると
見習う余地がありますね。
ただ、各対応が実際に成り立っているのかどうかは、
かなり人によって分かれる気がします。
つまり、何とかなったと勘違いしている現地の人も
少なからずいるということが、異文化の人と接すると
その本人さえも気づくということが、現実では
ないでしょうか。
例)
Gravyが辛すぎるから、砂糖によって味調節を行うという
ことは、高血圧の人には何の解決にもならないが、
そうでない人は、それにより味も然ることながら、
身体にも全く問題ないとする。
それも含めて、インドらしいと見ることもできますね。
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