ジュンパ・ラヒリ「その名にちなんで」

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長編の外国人作家の小説が読みたくなって、近所のブックオフに出かけた。日本の書店はそれが古本であっても、店の隅から隅まで奇麗にギッチリ本が詰まっていて、歩いているだけで幸せな気分になる。いくらオンラインで発注してすぐに本が届く時代になっても、この本屋をブラブラしながら探すという時間は失われてはいけない。

さて、私は映画や音楽については洋モノを好むけれど、読書についてはもっぱら日本人作家の作品を読む事が多いため、正直、あまり外国人作家の名前を知らない。(例えば、スティーブン・キングの作品も映画は全部観たけれど、本は一冊も読んだ事がない)

特定の作家の本を探すでもなく、店内を30分くらいブラブラして、「その名にちなんで」という文庫本が気になって作家名を見てみたら「J・ラヒリ」と書かれていた。「インド系の名前かな?」と思って手に取ってみたら、やはり作家紹介欄に「ロンドン生まれのベンガル人」とある。

「これもインドとのご縁だな」と思って早速購入(たったの108円だった)。縁を置いても、どこかで聞いたことのあるタイトルが気になって検索してみたら、あの有名な演技派俳優、イルファーン・カーンが主演で2006年に映画化もされていた。原作タイトルは「The namesake」。

作家もピュリツァー賞を受賞しているとあるし、一気に期待が高まって、まずは本から読んで、その後でYoutubeにFull Movieであがってた映画を観た。小説が映画化されたパターンで多くがそうであるように、もちろん小説の方がよかったけれど、アメリカで生まれ育ったインド人である主人公が、両親の故郷であるコルカタを訪ねた時の、アメリカとインドのギャップは、映像で見た方がリアルで良かったかもしれない。作中にたくさん出て来る「インドあるある」も、実際にインド暮らしをした身としては面白くてたまらない。

昨日、Kindleで彼女の他の作品を検索していたら、新作長編小説が出版されていた。「低地」という作品で、出版にあたって作家インタビューが無料配信されていたので読んでみたら、彼女は今、イタリアに住んでいて、イタリア語で作品を書いているとか。彼女自身の才覚かもしれないけれど、ホントにインド人って言語習得能力が半端無く高いです。

まだ一冊しか読んでいないけど、文章が頭の中で映像になりやすくて、出て来るキャラクターもとても丁寧に描かれている良い作品。インドを少しでも知っている人には、特に超おすすめです。

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