日本の春、インドの猛暑

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日本へ発つまであと5日と迫ったが、どうやら桜が満開という噂を聞く。最後に桜を見たのは、たしか5年前。インドへ移住してから冬と夏に日本へ一時帰国したことがあるけれど、春に帰れたことがなかったので、今回の帰国をとても楽しみにしている。

休暇モードに入る前、この数週間はいろいろなことがあって、ひとつ大きな決断をした。いつも何かを決める時に思うのは、自分が決めたからまわりが動くのか、まわりが動いたから自分が決断をしたのか、どちらだろう、ということだ。今回は、後者の方がちょっと比重が大きいかもしれない。

ブラジルの作家、パウロ・コエーリョの小説に「自身が強く望めば、宇宙が自分の望みを叶えるために力を貸してくれる」というような言葉があった。これはあながち嘘ではないと思う。私には信仰心もないし、スピリチュアルなものへも抵抗こそないが、とくに強い興味も無い。けれど、自分が望む方向がはっきりしていれば、不思議なもので、それに必要な人脈や、情報を何かが運んで来てくれる、というのはなんとなくうなずける。

今回もいろんなことが重なって、「あ、時が満ちたな」という感じがした。

けれども大きな決断をする時にどうしても伴うのは、新しいことをする時に生じる恐怖心だ。好きなことをやるには、妥協して物事を進めている時よりも大きなリスクが伴う。

「好きなことだけをやり続けるっていうのは実はとても難しいことなんだ」という高校時代にハマっていたRPGゲームのエンディングで出て来た台詞が強く印象に残っている。優秀なクリエイターが揃ったそのゲームの制作チームのインタビュー記事を読んで行くうちに「なるほど」と思った。彼らはクリエイターとして自分の好きな仕事に細部にまでこだわったが、それと同時にいつもそこには大きな困難があった。趣味ではない分、時間との戦いもあった。「好きなことを徹底的にやること」の難しさが表れていた。ゲームの中でキャラクターが語った台詞は、おそらくその制作者たちの言葉でもあるな、と、世間を知らない子供ながらに思った。それから15年くらい経って、ますますその言葉は真理だなぁと感じている。

日本ではすべてが新しくなる春。インドでも新年度は4月から始まる。桜の開花と共に、春の息吹が生まれる日本の4月と違って、インドの4月は年間で一番暑い地獄のような猛暑が続いているが、来週の帰国時は日本の春の中で日本人的に気持ちをリフレッシュして、ムンバイに帰ってきたいと思う。

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