楽観主義と100倍の努力

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「経営学や経済学で学ぶ『Diminishing Return(収穫逓減)』という考えは個人でも大事だと思う。ある程度努力すれば人並みレベルにはなれる。しかし、さらに高いレベルに到達するには、2倍、3倍、場合によっては100倍の努力が必要になる。そういう努力を諦める人が多い。」

Twitterで見かけたこの言葉にこの数日間、救われた。「欲しい結果やものが手に入らないのは、あなたの努力のレベルが低すぎるのですよ」とガツンと頭を叩かれて、「もーどうしてこうもうまく行かないんだー」と思って来たモヤモヤがパッと晴れた。

この数週間、毎日が常にギリギリで、それでも予測できなかった問題が次々と降って来る現状に甘えて、それを自分ではどうにもならない「何か」のせいにしてきた。予測できなかった事態を事前に防ぐほどの頭は自分には無いし、そもそもこの国では、本当に突然、そういう「アクシデント」が発生するから、正直、リスクヘッジにも限界がある。必要なのは、起こってしまったことに対して「あーあ、困ったな。まあ、でも死ぬ訳じゃないし、いいか」と言える楽観主義と、100倍の努力だ。

「なんでそんなに頑張るの?」という質問は、個人的にはあまり意味がないと思う。頑張る理由はその人の価値観(もしくは目指すもの、欲しいもの、とも言う)によって違うわけだから、違う価値観を持つ人の意見を聞いたところで自分が苦しむか、参考にならないかのどちらかのパターンに陥ることになる。価値観はいつだって自分の中にあるべきで、その価値観に対してとことん我がままになるべきだ。個人の価値観に対する他人の評価ほど、無意味なものはない。

ところで外国に出て行くと、面白い事に、これまで信じて疑わなかった自分の価値観が壊れる事が何度かある。これまであんなに我がままに貫いて来た価値観が、何かの意味のわからない経験によって粉々に砕けてしまう。矛盾するようだけれど、こういう時は素直に壊されてしまった方がいい。本当に大事なものだったら、再構築されるときに、ちゃんと積み木のパーツとして自然とついてくる。

私の場合だと、世界一周する前は「いろーんな国に移動しながら自由に生きること」が、何よりも「欲しいもの」だった。けれども、たった11ヶ月の間に、「いや、移動し続けることに意味は無くて、好きな土地で好きな人たちと好きなことに打ち込みながら生きて行くことが私にとっての幸せで、それはきっと一カ所に根をはってこそ手に入るものだ」という結論に達した。どの国に行っても、一番幸せそうだったのは、世界をぐるぐる周り続けるバックパッカーではなかった。幸せに見えたのは、そこで生活を送る人々の方だった。あまりにも平凡な結論だったけれど、身を以て知るのと、他人に聞いて「そうか」と思うことの間には、天と地ほどの差がある。

なんの話をしていたんだっけ。。

話を戻して「楽観主義と100倍の努力」について。幸運なことに、今のムンバイでの暮らしは半端なく厳しくて(もう今月はホントに辛い)、その状況下で、もし自分に、それでもけらけらと笑っていられる楽観主義と、意地も若干入り交じった努力を強いることができれば、それを乗り越えた時に、私の欲しい未来に、ぐっと近づけるだけのものが手に入ると思っている。だって、ここ以外にこんなギリギリの毎日を送れる場所なんて、ホントに思いつかない。プラス、こんなギリギリの毎日を私と同じか、それ以上にきつい毎日を送っていてもなお、100倍の努力をしている姿を見せてくれる人たちが、少なからず身の周りにいる。そんな彼らはなんだかとってもかっこいいし、「きついよー、大変だよー」と言いながらも、限りなく自分の手にしたかった生き方に近いところにいるようにみえて、なんだかとても幸せそうなのだ。

そんなわけで、これからしばらくは「楽観主義と100倍の努力」をテーマにしてムンバイで暮らして行こうと思います。疲れたら、美味しいアジア料理と、エメラルドグリーンの海と、宇宙にいると思えるくらいの満点の星と、いっしょにバカなことができる友人たちと、ネコをエネルギーとして注入して何とかやっていこう。

2件のコメント 追加

  1. Oseane より:

    国も職場環境も違いますが、そういうかっこいいと思える人たちが周りにいるというのはとてもラッキーだし、それを感じることのできるあなたもあっばれです。
    日本人にあって、フランス人に希少なもの;先を見越して物事を進める。反対にフランス人の方が断然優れているもの;不測の問題が起ったときのイニシャティブと底力。インドはどうなのですか?
    Twitterのアカウントがないのですが、12月19日がお誕生日なんですか?おめでとうございます。わたしも同日です。その本は2年前に買ってまだ読んでいません。ロンドンに舞台を観に行く方が先になりそうです。

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  2. Kaori より:

    コメントありがとうございます。しばらくブログを放置していまして、今、いただいたコメントに気づきました。
    日本人とインド人のそれぞれの強みについては次回、書かせていただきます。でも日本人とフランス人の比較にも共通する部分がありそうです。
    私の誕生日は12月18日です。お祝いのメッセージありがとうございました。
    また、Oseaneさんにとっても新しい一年が素晴らしい年になりますように!

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