ぜんぶアイツのせい。

雨期真っ只中のはずなのに雨がぜんぜん降らなくて、夜でもねっとりした風が吹いている。リキシャに乗っている時にドシャブリになって、横殴りの雨のおかげでビショビショになったのはもう遠いとおい2週間以上前の話だ。雨がパタリと降らなくなった。5、6年前までの雨期は、オフィスの前が川になって、泳いで通勤帰宅していた人がいたなんていう話を聞いたけれど、そんなのとても信じられない。雨の後、水たまり天国となるはずのデコボコ道路もカラカラである。

ムンバイの人々は雨期になると何でもかんでも雨のせいにする。インターネットの接続や、携帯の音声が悪くなるのは雨のせいだという話をプロバイダーからよく聞いたので、「そんなことあるかいな!」と思っていたが、2年目くらいからは「そうかも」という半ば納得できるカテゴリーの問題になってきた。中にはまだ納得できない例もあって、たとえば電車が遅れるのは雨のせいだというロジックは未だに理解できない。「なんで洪水になっているわけでもないのに、電車が遅れるの?」と聞いてみても、納得できるような返答を貰えたことが無い。でもなぜかみんな当然のように言う。「やっぱり雨だからねぇ」と。まるでそう言いあって同調できるのが雨期の特典であるかのように。
しかし、今年の雨期はぜんぜん雨が降らないので、「ああ、今年はこれで雨のせいだという台詞も聞く事はないだろうな」と思っていたら、彼らはしっかり代わりの理由を用意していた。「今年は雨が降らないからねぇ」だ。そう来たか。
先日、会社で健康診断があったのだけれど、日本人同僚の1人が何かの数値が異常に高いということで精密検査を受ける事になった。精密検査の結果は結局よくわからず、なにやら薬を処方されて終わりだったらしい。インドに住んでいると原因不明の体調不良がたまにおこるので私たちはそれを「インド病だね」と言い合っていた。これだけでもかなり適当な理由だと思うのだが、この国には想定不能なほど上には上がいる。同僚が、精密検査を受けた話をインド人の友人に話したところ、真顔でこんなことを言われたそうだ。「今年は雨が降らないからねぇ。雨が降ったらきっとあなたの体の問題も解決するよ」。絶句。
もう、降っても降らなくても雨のせいにしていいのなら、私も堂々とこの言い訳を使わせていただこうと心に決めた。テレビが壊れたのも、渋滞も、PCがしょっちゅうフリーズして仕事にならないのも、数字のターゲットがクリアできないのもぜんぶ「雨が降らないせい」だ。なるほど、こう考えると雨期ってけっこうお得なシーズンなのかもしれない。

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