「インドの定期預金のレートはとてもいい」という話を聞いたのは、求職活動中の昨年8月。ルーズな私はそれから7ヶ月たって、ようやく定期預金をはじめた。今回、いくつかの選択肢の中から、私はState Bank of India(以下SBI)のFix Depositを1年の契約で開設したが、レートは9%。日本の銀行とは比べ物にならない。
SBIを選んだ理由はとても簡単で、まず第一は安全性の問題だった。ヒンディー語の先生のアドバイスによると、マイナーな銀行はつぶれることがあるから、定期預金に限っては大手を利用したほうがいいとのこと。それに加えて、今回は日本の三菱東京UFJから送金する関係で、送金元と、送金先の銀行双方のリレーションが良かったことがあげられる。インドの事情に詳しいある日本人の知人からは、東京三菱UFJが外国送金の元締めのようなものなので、確実に届くという情報もいただいた。裏を返せは、マイナーな銀行に頼んで、お金がどの支店に届いたかわからなくなったという話も無いわけではないということだ。
定期預金口座開設までの流れとしては、まず近場のSBIで普通預金の口座を開設するところから始まった。例によって「外国人は開設できるのか」という、そもそもの問題から銀行のおじちゃんたちは議論を開始していたが、以下の書類を準備できる身分であれば可能だ。
パスポートのコピー
ビザのコピー(就労ビザの場合はFRROからのRegistration report and residential permitも必要)
PANカードのコピー
会社との契約書のコピー
パスポートサイズの写真
デポジットの5000ルピー
銀行に持っていくと、口座開設用紙をくれるので、それに記入して手続きとしては終わりである。数日後にWelcome kitとして、自分の口座情報が届き、オンラインバンクの設定を行う。それから大分遅れて、銀行のカードが届いた。 次に、送金を行ったわけだが、これには約一週間を費やした。Swift Codeなどの支店情報を送金元の銀行に渡して、手続きをしてもらうわけだが、自分が口座を持っている支店にダイレクトに送金されるとは限らない。今回は、外国送金を扱っているムンバイのOverseas Branchに4/26に送金が完了してから、私が自分で地元の支店に確認しにいくまで、何もプロセスが進んでいなかった。5/2に直接、地元の支店に足を運んで、リファレンスナンバーを伝えて送金をして貰った。それをしなかったら、未だにOverseas Branchで止まったままだったろう。なお、手数料については、三菱側の手数料が6000円で受け取り側の銀行の手数料が、Forex Trx service で262ルピー、コミッションで 100ルピー引かれた。ちなみに送金は円建てで完了。
蛇足だが、「さすがインド」という場面にも出くわした。送金確認に地元の支店へ足を運んだ際、同じ銀行の別支店の電話番号を探し当てるのに約30分費やし、結局、個人のOverseas Branchの知り合いの携帯電話に、担当のおじちゃんが電話をかけてくれて、なんとか同日中に送金を完了した次第である。地元の支店には何度か行って、そのおじちゃんと世間話などをして顔見知りになっていたからことはうまく進んだが、ローカルに「味方」がいないと事が進まないというのは、今回に関わらず、インドらしい一面である。誰を知っていて、その人が誰を知っている、という個人の関係が物事をうまく進める。愛嬌はあった方がいい。
その他、送金の方法としては、もっと安く済む方法もあるが、高額送金の場合は安全性の問題からおすすめしない、というアドバイスもあった。また、個人送金であれば、送金をせずにCity Bankで口座を作って、インド現地でルピー現金を引き出すという方法もある。方法は、いろいろあるので、自身で選定して、ルートとしては確実な方法を選び、送金完了後はインド現地でもう一押しが必要になる可能性が高いということを忘れずに行っていただきたい。そもそも、舞台は物事がスムーズに進む日本ではなく、インドであるということを忘れずに・・・。