インドの一般家庭で掃除機を見たことがない。ホウキとモップがその辺においてあるのが通常だ。ホウキで部屋の隅からゴミを掃いて行って玄関までたどり着くと、そこから外にババっと出してオシマイ、という掃除の仕方をよく見かけた。中流階級以上の家庭では、メイドさんを雇って彼らにこの一連の掃除をさせているのもよく見かけた。
郷に入りては、ということで、私も、はじめから部屋の隅に立てかけてあったホウキで掃除をしていたのだが、このホウキ、本当に大昔の藁を結んであって先っぽはバラバラ、というタイプのもので、糸くずやら髪の毛やら絡まると取れなくて、非常に使い勝手が悪い。ルームメイトはティッシュを湿らせて埃を拭き取るといった、非常に手間のかかる方法で掃除をしていて、私がそんな方法で面倒だと思わないのか、と聞いたところ、むしろストレス軽減のための習慣だ、とかで、私が思っているほど不便は感じていないようだった。
しかしとうとう本日、掃除機を購入するに至った。メーカーはEUREKA FORBESというインド製だ。大きいショッピングモールに行って、電化製品売り場をみてみたところ、電子レンジや湯沸かし器、炊飯器などは、いろいろな種類がストックされていたのに、掃除機はわずか3種類だけ。前に見に行ったモールでは、車内を掃除するときに使う、小さいタイプの掃除機しか置いていなかったが、今日は日本でおなじみのホースの長いタイプの掃除機を発見した。値段はRs2550(3400円ほど)で、日本のメーカーと比べると、めちゃくちゃ安い。なんだかおもちゃのような感じで頼りなかったが、まあ、駄目だったら駄目だったでいいかと思い、購入。自宅に帰って早速使ってみると、吸引力はわりと強力で、ちゃんと掃除機の役目は果たしてくれた。
品揃えを見る限り、あまりインドでは浸透してはいなさそうだが、いかんせん埃っぽいインドなので、重宝したいところである。